2018年度 第2回レポート
出題: 2018/12/31, 提出:2019/1/22(講義開始時)
1. 絶縁破壊
1-1) アバランシェ破壊とツェナー破壊の物理について説明せよ。
1-2) 一般にバンドギャップが大きくなるとアバランシェ破壊は起こりやすくなるか、起こりにくくなるか、理屈とともに説明せよ。
1-3) 一般にバンドギャップが大きくなるとツェナー破壊は起こりやすくなるか、起こりにくくなるか、理屈とともに説明せよ。
1-4) 温度上昇とともに絶縁破壊電圧は一般にどのように変化するか。ツェナー破壊で絶縁破壊しているケースと、アバランシェ破壊で絶縁破壊しているケース、それぞれについて論じよ。
1-5) Siの絶縁破壊電界はおおよそ300kV/cmである。p層のドーピング密度は5E20/cm^3、n層のドーピング密度は1E15/cm^3のpn接合ダイオードの絶縁破壊電圧は何Vと予想されるか。なお、p層、n層の厚さは十分厚く、ノンパンチスルーとして考える。
1-6) Siでpinダイオードを作製した。i層の厚さは0.2μmである。このダイオードの絶縁破壊電圧を測定し、絶縁破壊電圧におけるi層の電界強度を計算したところ400kV/cmであった。一般に言われている絶縁破壊電界よりかなり大きな数値が得られた理由を説明せよ。(アバランシェ破壊の原理に立ち返れば説明できる。)
2. pinダイオード
pinダイオード、実際にはp+/n-/n+ダイオードは伝導度変調によりドリフト層のn-層の抵抗よりもオン状態の抵抗が大幅に低減可能である。学部レベルの半導体工学の知識(みなさんがM1になった4月のレベル)しかない学生に対して次のことを説明せよ。
2-1) 伝導度変調という現象の定性的な説明
2-2) 伝導度変調が効果的に生じるための条件
2-3) ダイオードという電子素子の観点で逆回復特性という現象 (I-V-tのグラフを書いて) 逆回復時間がゼロの理想的ダイオードのグラフと並べて示せ
2-4) 伝導度変調によりオン抵抗低下と逆回復特性の悪化(逆回復時間の増大)のトレードオフ
3. ワイドギャップ半導体
よりバンドギャップの広いワイドギャップ半導体材料を用いることでパワーデバイスのどのような性能を向上することができるか。半導体物理の観点から説明せよ。
4. SiC
ワイドギャップ半導体SiCは1990年代から研究開発が活発化して、現在では社会で使用されつつある。SiCパワーデバイスは同耐圧のSiパワーデバイスより性能は格段に良いが、コストや量産性、長期信頼性(まだ誕生して間もないデバイスでデータが十分にない)などの問題があり、まだ一部の用途にしか広まっていない。
インターネットで検索して、実用化されている事例を1点拾い上げて、プレスリリースや技術情報、関係する解説などを調べて詳しく説明せよ。(少し古い事例は地下鉄銀座線。最近だと山手線や新幹線などがある。また、鉄道以外にも実用化事例はある。)
5. ワイドギャップ半導体の未来
ワイドギャップ半導体パワーデバイスを広めるためにはどのような用途、アプリケーションに着目すれば良いだろうか。自由に論ぜよ。(思いつかない人は、なぜ鉄道についてSiCパワーデバイスが浸透してきているのかを分析してみよ。)
以上