須田研究室に配属希望を出す皆さんは以下の課題に取り組んでください。1/29正午を〆切とします。メールで須田宛(suda@nagoya-u.jp)に提出してください。はやめに提出してくれれば、コメントを返せるかも知れません。(〆切前なら再提出可能です。)


課題1 半導体結晶の見た目

半導体ウエハ(円盤状に加工された半導体の単結晶)の外見は材料によりまちまちである。Siはやや黒みがかった銀色の鏡のようでありGaPは半透明のオレンジ色GaNは無色透明である。

  • このような外見になる理由を説明せよ。
  • もし赤外線カメラ(波長1.5μm)で3種類のウエハを見るとどのようになるだろうか。

ヒント:それぞれの材料のバンドギャップの大きさはネットで調べればわかります。須田の固体電子工学の講義動画(ここに半分の答えがあります)とキッテルの固体物理学の教科書の範囲で答えてもらえばOKです。さらに詳しく理解したい人は須田の名古屋半導体塾の講義動画も見てください。光工学も関係があったりします。


課題2 MOSFETの構造と動作原理

MOSFETは、ゲート端子の電位(正確にはゲート-ソース間電圧Vgs)により、ソース端子-ドレイン端子間の電気伝導を制御できる、ある種の「電子制御スイッチ」である。

MOSFETにはnチャネル型とpチャネル型がある。

(a) nチャネル型MOSFETの構造図(デバイス断面図)を示し、オン時・オフ時の動作の原理を説明せよ。Vgsを変えたときのId-Vds特性(出力特性)を示せ。

(b) 出力特性でVdsが大きくなると電流値の飽和する「ピンチオフ」現象がみられる。この物理(現象が生じる原理)について説明せよ。

(c) pチャネル型MOSFETの構造図を示せ。nチャネルとpチャネルMOSFETではどのように違うかを説明せよ。Vgsを変えたときのId-Vds特性(出力特性)も示せ。

(d) 現在のエレクトロニクスの根幹を支える大発明、CMOSロジック回路について説明せよ。どのようにMOSFETを組み合わせて実現しているのか?組み合わせるMOSFETの特性に対してどのような要求があるか?回路的にどのような利点があるのか、CMOSロジック実用化前のNMOSロジック回路を比較して議論せよ。

ネットですぐに答えは見つかりますが、自分で本当に理解して答えることが重要です。複数の情報でいろいろ勉強して答えてください。電子デバイス工学の授業をちゃんと受けていた人は簡単ですね。

ネットの情報は嘘や誤りも多いです。ちゃんとした教科書で調べることも重要です。名大生は名大の電子図書館から半導体の高価な教科書(英語ですが)を無料でダウンロードできます。Marius Grundmann著 The Physics of Semiconductors (Springer)がおすすめです。ダウンロードするには名大の学内LANで接続するか、名大IDを用いたプロキシサービスを利用する必要があります。


課題3 pn接合の空乏層

pn接合は半導体デバイスの基本中の基本です。特に空乏層の振る舞いは非常に重要です。当研究室で研究を進めるためには「空乏層とお友達」になる必要があります。固体電子工学の授業でも時間を取って丁寧に説明したつもりです。

私の講義を忘れてしまった人はまずは固体電子工学の講義動画をしっかり見てください。式を覚えるのではなく考え方を身に着けてください。アクセプタ密度Na、ドナー密度Ndのpn接合にVの電圧をかけた時の空乏層幅Wは?と試験で聞くとほとんどの人が正解を答えます。でも式を暗記していただけではまったく意味はありません。その式をなにも見ずに基本法則(暗記しないといけないのはガウスの法則くらいですね)から導出できることが極めて重要です。

動画で復習が勉強が終わったら名古屋大学大学院のパワーデバイス工学特論の授業で出した小テストを解いてください。大学院の授業ですが、固体電子工学の授業の知識で解ける問題です。なお材料はGaNを想定します。GaNの比誘電率は10.4として計算してください。ウォーミングアップ(cmやm、μmの換算間違いを防ぐための)例題が用意されています。授業で出題すると、基本問題の問1はほぼ全員が正解でしたが応用問題の問2は多くの人が不正解でした。答えを出した後じっくりじっくり考えて矛盾がないか考えてみれば間違えないはずです。じっくり考えてください。(関数電卓やパソコンを活用してもらってもちろんOKです。)

すだちゃんねるの非公開動画半導体pn接合の理論を見るとヒントがあるかもです。


課題4

  • 研究室を志望した理由
  • 研究に対する興味関心、熱意
  • 研究室でやりたいこと・身に着けたいこと
  • 中学・高校・大学で勉強以外に頑張ったこと(クラブ活動、趣味・特技、バイトなど)
  • 将来の進路(現時点の予定で結構です)
  • その他なんでも

をA4 1~2枚にまとめてください。面接で話すきっかけように。


課題は以上です。いくつかの課題については面接時にみなさんに説明してもらいます。

みなさんが自分で半導体の勉強ができるかどうかの力を見るためのものです。みなさんの努力は期待しますが、正解であるかどうかはそれほど重要ではありません。回答にミスがあっても面接時に議論をしながら間違いに気が付いて訂正できけばそれで十分です。

研究室に入ると、自分のテーマに関係することについてたくさんの勉強をしなければなりません。参考になる本や論文などは紹介してもらえますが、基本的に自分で調査、勉強して、そのうえで分からないことや納得できないことを上級生や教員に聞くという勉強スタイルです。その予行演習だと思ってやってみてください。勉強も意味や価値も分からずに勉強するのではなく、自分のやりたい研究のための勉強とわかってするのでモチベーションは違うと思います。


半導体工学は、半導体物理という基本原理に立脚してさまざまな役に立つデバイスを作り出す学問です。ダイオード、トランジスタにはじまりCMOS、CCD、イメージセンサ、太陽電池、パワーデバイスなど様々なものが生み出されてきました。物理学を応用して新しいものを作り出す「応用物理学」分野の代表格です。

時計やからくり人形は、ばねやてこ、歯車などわかりやすい物理(力学)に立脚していますが、半導体の場合は、バンド図や空乏層などを直接目で見ることはできません。でも研究を何年も続けているとそれが本当に体感できるようになってきます。(子供がボールの軌跡(重力がある場での運動方程式)を予測できるように。)

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