2018年度 第3回レポート(最終)

出題: 2019/1/22, 提出:2019/2/5(電気系事務室レポートBOX)

 

ワイドギャップ半導体の良さを生かすためにはpn接合の活用が重要になる。次のa,bどちらかのテーマを取り上げて論じよ。

参考にした文献、半導体メーカ技術資料、Webページはしっかり明記すること。

 

a) ワイドギャップ半導体のショットキーバリアダイオード

ユニポーラリミットの特性を引き出すことができない。なぜなら熱電界放出により半導体の絶縁破壊が起こるかなり手前の逆方向電圧でかなりのリーク電流が流れてしまい実質的な耐圧はその電圧となってしまう。この問題を解決するデバイス構造としてJBS構造がある。

・熱電界放出とはどのような現象か?(簡単な半導体工学の教科書には熱電子放出しか書かれていない。)なぜショットキー接合の逆方向リーク電流が半導体の絶縁破壊より先に生じてしまうのか?

・JBS構造の構造、原理、なぜ上記の問題を解決できるのか述べよ。

※SiCショットキーバリアダイオードとして売られている商品は実際内部SiC JBSとなっている。

「秀」を目指す人への追加課題:

・実はp型を使わないで解決する方法もある。どのようなデバイス構造か?原理なども含めて説明せよ。

or
・JBSを作製する上での課題(デバイスプロセス技術上の課題)について述べよ。GaN JBS実現にはどのような難しさがあるか?

 

b)電界効果トランジスタのノーマリオフ化

ソース、チャネル、ドレインにn型半導体しか使用できない場合は反転層の概念が使用できない。MESFETにせよMOSFETにせよ負のゲート電圧の印加によりn型半導体のチャネル層を空乏化させることでオフにするデバイス構造となる。ゲートに信号を加えない状態でオンとなるノーマリオンとなり、パワーエレクトロニクスでは使用が敬遠される。チャネル層の厚さを薄くして、かつゲートにショットキーではなくp型層を使うとゲート電圧(V_GS)=0Vの状態でオフ、V_GSに正電圧印加によりオンなる、ノーマリオフデバイスを作製することができる。

・上の文章についてどのような原理でノーマリオフになるのか説明せよ。この手法では閾値電圧(デバイスがオンになる電圧)を好きなようには設定できない。理論的な上限を述べよ。

・デバイス性能という観点でノーマリオフ化の代償について述べよ。

※ノーマリオフAlGaN/GaN HEMTはこの原理を用いてノーマリオフ化させている。ノーマリオフ型SiC JFETのもこの原理に基づいている。

「秀」を目指す人への追加課題:

・AlGaN/GaN HEMTのノーマリオフ化の手法は複数ある それぞれの原理、得失について述べよ。